Buenos Aires - July 8-11th 2005



 
 
 日本からカナダを経由し、ブエノスアイレスに到達したときには、既に30時間以上が過ぎていた。7月8日午後に到着した。  約150頭のドゴ・アルヘンティーノが参加するワールド・ドッグ・ショー in ブエノスアイレス。ブエノスアイレスでの開催は Falucho de Los Medanos がウィナーとなった1993年から12年ぶりとなる。ドゴ・アルヘンティーノの本場アルゼンチンにおけるウィナーはどの犬になるのか。世界中のドゴ・マンの関心であろう。また、私の関心はさらに次のようなことにあった。すなわち、私の所有する Audacity Katana の父犬 Bunker del Don Ata あるいは伯父犬 Bombon del Don Ata のいずれかが今回のワールド・ウィナーになると予想していたからである。

 私は9日に会場へ。8日に International Dog Show が行われ、Champion Class Male では既に、1位 Pampero、2位 Bunker、3位 Bombon が決定していた。
 9日会場に入ると、まずはユリセス ( de La Cocha )、ジョージ・フュネス、フェルナンド(de Gran Togo )と顔を会わせた。1年ぶりである。ジョージが Tango de La Tarascada を引いていた。

 Tango de La Tarascada はコルドバで最も優秀なハンターである。身体は傷だらけである。このような傷だらけの猟犬がドッグ・ショーに出てくるのである。

 ホラシオ、ホラシオの息子、ジョセ・ルイス( del Litoral )、イタリアのピカデロ犬舎のオーナー、フランスのヒジョス・デ・ラ・ルナ犬舎のオーナーらとも1年ぶりに顔を会わせた。
 with Mr. Serafino Bueti, Mr. Alexandre Calmels & Mrs. Alexandra Hugonet

 私の右隣がイタリアのセラフィノである。彼は World Ch. Actarus を輩出したことで有名である。また、セラフィノの隣がヒジョス・デ・ラ・ルナのオーナー・アレクサンドレであり、私の左隣の女性がヒジョス・デ・ラ・ルナのコ・オーナーであるアレクサンドラである。
       
  July 9th 2005 - Americas and
  Caribbean Section Dog Show



 Male の審査員は Jose Giordano (AR)、Female の審査員は David Guojardo (AR) であった。Female の審査員の評価は正当なものであったが、Male の審査員は Ivo を Champion Class Male で1位およびこの大会のB.O.B.としたため、大きなブーイングともに、会場と一触即発の状況になり、警備が彼を保護するという状態になった。Ivo はそれほど良いドゴではない。

 2位は Bunker、3位は Pampero であった。Pampero は最良のドゴであるが、5歳を過ぎており、長旅で体調を崩していた。やはり Bunker のパワフルでスタミナみなぎる動きに見劣りを見せた。Bombon は Bunker の Full brother であるが、Bunker のパワフルさには見劣りした。この時点で、友人であるヌエバ・コルドバ犬舎のアレジャンドロは Pampero を、オーダシティーのアルバートは Bunker と Bandolero のいずれかが10日のワールド大会におけるチャンピオンになることを予測した。
Bagual UVerdes Pampas Bombon del Don Ata Gr.Ch.Arg., Ranking No.1, 2005 Bunker del Don Ata
       
Gr.Ch.Arg., Ranking No.1, 2005 Bunker del Don Ata Gr.Ch.Arg., Ranking No.1, 2005 Bunker del Don Ata Gr.Ch.Arg., Ranking No.1, 2005 Bunker del Don Ata Gr.Ch.Arg., Ranking No.1, 2005 Bunker del Don Ata
       
Gr.Ch.Arg., Ranking No.1, 2005 Bunker del Don Ata Gr.Ch.Arg., Ranking No.1, 2005 Bunker del Don Ata Chango de Los Corrales Cheche del Huaico
       
Don Pucho del Blender Ivo de La Herencia Ivo de La Herencia Pampa del Do Yel
       
Pampero Ackon Cahuak Pampero Ackon Cahuak Rocco de Antares Tango Bravura del Ayar
       
Toro del Do Yel Valiente de Jauria Brava
Eboteg del Litoral Tacuara de La Cocha
       
     Audacity Kennel

 9日の大会終了後、アルバートの家でチョリソ(バーベキュー)・パーティーが行われた。ヒジョス・デ・ラ・ルナのアレクサンドラやヌエバ・コルドバのアレジャンドロらとともに楽しい時間を過ごした。私はアレジャンドロが作出した Mole de Nueva Cordoba をイタリアで見て印象に残っている。Mole について「素晴らしい犬である」と話した。彼は喜んでいたが、「数ヶ月前に胃捻転で死んだ」と話した。このドゴはフランスの犬舎に行っていたので、そこで死んだのであろう。
Araucana del Talamochita  with Mr. Alejandro Morcillo de Nueva Cordoba and Mr. Tucci
with Mrs. Jannet
       
Tamy de La Vieja Diana

Tamy は World Ch. Talisman の同腹犬である。
現在12歳であるとのこと。
Audacity Evangelina Audacity Evangelina
       
Audacity Evangelina Audacity Evangelina Audacity Unterio Audacity Unterio
       
  July 10th 2005- FCI World
   Dog Show( Mundial 2005 )



 10日に Mundial 2005 が開催された。8日、9日と全く同じ犬たちが150頭出展された。Male の審査員は Edgardo Basso (AR) である。私はアレジャンドロとともにショーを楽しんでいた。アレジャンドロはアルゼンチンおよび欧州でドゴの審査員をつとめるプロ中のプロである。彼の解説と予想を聞きながら、ドゴを見る視点を深く学んでいた。Male の Open Class ではToro del Do Yelがウィナーとなった。また、この審査の途中、Rocco de Antares が場外で綱を切ってリングに乱入してきた。リング内のドゴに向かっていく。これを止めに入ったハンドラー1名が腕を負傷した。そしてそれに続き会場にガスが充満、ガス爆発が起きた。私のいた会場ではひどい煙とガス臭、それに伴う目の痛みが生じた。
 
 全会場から多くの人々がパニックになり、避難し始めた。パニックに陥った人々の中には怪我人が出て、結局7名が救急車で病院に運ばれた。多くの警察が到着し、現場検証が始まった。この騒動で、ボクサー1頭、ブルドッグ1頭が死亡した。

 これはドゴの審査に不満を持った人間の犯行である。私はその犯人グループの1人を推察できる。これをもってドゴ・アルヘンティーノの審査は終了。ノー・コンテストとなった。ドゴの審査をこのまま続けたならば再びトラブルが発生すると考えたからであろう。他の犬種は現場検証終了後、審査を開始した。2005年ドゴ・アルヘンティーノのワールド・チャンピオンは幻と化したのである。

 11日のテレビのニュースや新聞でこれらのガス爆発と群集のパニックについて報じられた。
       
July 7-8th 2005 - FCA International
Dog Show
Champions Class Male Winner
#1 Pampero Ackon Cahuck
#2 Bunker del Don Ata
#3 Bombon del Don Ata


July 9th 2005 - Americas and Caribbean Section Dog Show
Champions Class Male Winner
#1 Ivo de La Herencia
#2 Bunker del Don Ata
#3 Pampero Ackon Cahuck

Best Female
Ilusion del Huaico
Open Class Female Winner
Eboteg del Litoral


July 10th 2005 - FCI World Dog Show ( Mundial 2005 )
No Contest !!
   Antares Kennel


 11日。数あるアルゼンチンの犬舎の中で、私が訪問を決めたのは、アンタレス犬舎である。現在の優れたドゴ・アルヘンティーノが Carancho de Antares の系統であることを私たちは忘れてはならない。今回のショーにおいても、Pampero、Bunker、Bombon、Bandolero 全てがこの系統である。もし仮に Carancho が現在、このショーに出場していたならばワールド・ウィナーになっていたことであろう。
 
 9日の Ivo のB.O.B.、そして、10日 Open Class での Toro del Do Yel の勝利に多くのドゴ・マンは納得できなかったのである。さらに Toro del Do Yel は写真を見て判るとおり頭部の10%以上の斑点を有しているし、また、この母犬が審査員である Basso の犬舎の犬であった。  with Mr. Mirlo, Mrs. Maria Angelica and Mr. Albert



 
       
 with Mr.Albert, Mrs. Jannet, Mr.Jadranko Terzic and Mr.Tucci
       
 最後になるが、Mundial の事件を見て分かるように、アルゼンチンは決して安全な国ではない。また、短い滞在中にハイウェイでの多くの事故も目撃した。このような国において家族と財産を守るためのガード・ドッグとしてドゴの強い気性が必要であることをあらためて理解できた。アルバートは遠くでの仕事のために夜中に車で出かけることもしばしばあると言う。その時には2頭のドゴを彼のプジョーの中に乗せ、自由にさせている。彼は言う。「ガンはベターではあるが、ベストではない。」と。「ガンは相手に命中しないかもしれないし、犯人に奪われるかもしれない。2頭のドゴは確実に犯人に命中するし、奪われることなく、犯人を殺す。」と説明した。

 また、彼の次のような経験が語られた。アルゼンチンのある地域では今も牧場の羊を狙い、ピューマが出没すると言う。そのようなときドゴを連れて行く。1頭のドゴは1頭のピューマを確実に殺す、と彼は話す。そしてほとんど例外なく、ドゴが勝つと言うのである。

 ドゴの強靭さは、もちろん今もコルドバで行われている闘犬として使用されている。ビッグ・マネーが動く。コルドバの闘犬はドゴ、ロットワイラー、ピット・ブルの混血が主流であると言う。
 with Mr.Jadranko Terzic, Mr.Albert and Mr.Tucci  with Mr.Jadranko Terzic in front of FCA